北朝鮮のミサイルとなぜ日本は改憲が必要なのか
最近また、テレビやネットニュースで「北朝鮮、アメリカを牽制」といったニュースを目にする機会が増えたように思えます。
トランプ米大統領は10日、滞在先の東部ニュージャージー州で記者団の取材に応じ、北朝鮮が米領グアム沖に弾道ミサイルの発射を検討中と表明した問題で、「グアムで何かやれば、世界が今まで見たこともないようなことが北朝鮮で起きるだろう」と述べ、軍事攻撃による報復を強く示唆した。
産経ニュース:トランプ米大統領、北朝鮮への先制攻撃に含み「今に分かる」軍事攻撃による報復を強く示唆(http://www.sankei.com/world/news/170811/wor1708110020-n1.html)
今の所はアメリカも北朝鮮もお互いに行動を起こすようなことはないでしょうが、この発言から、トランプ大統領は北朝鮮の言動に相当苛立っているように伺えます。
このニュースを見て、「またアメリカと北朝鮮の揉め事か〜」って思っている方もいるかと思いますが、案外そうではないかもしれません。
グアムは日本列島から直線距離で約2530km南に進んだところにありますから、当然日本の上空をミサイルが通過するということになります。
実際に、北朝鮮もそのように報道しています。
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍司令官は9日、米領グアム周辺への中距離弾道ミサイル「火星12」の「包囲射撃」計画について、4発を同時にグアム沖30~40キロの海上に撃ち込む計画案を検討しており、「8月中旬までに最終完成させる」と表明した。ミサイルの日本上空通過を予告している。朝鮮中央通信など北朝鮮メディアが10日、伝えた。
産経ニュース:北朝鮮、グアム沖に4発発射「検討中」広島など日本上空通過も予告(http://www.sankei.com/world/news/170810/wor1708100007-n1.html
また、北朝鮮の司令官金洛兼(キムラクキョム)はミサイル「火星12」は「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」と具体的に説明しています。
それを受けて防衛省は、発射されたミサイルのどれかが不具合で日本に着弾する可能性を示唆し、PAC3(パトリオットミサイル)を中国、四国地方に展開することを決定しました。
今回の北朝鮮のニュースで、私たち日本国民は以前よりも「憲法9条」「自衛隊」「国防」といったフレーズに関心を持つようになるのではないでしょうか。
いや、むしろ持たないといけないのです。
隣の国が日本の脅威となっている今こそ、憲法9条と向き合わなくてはなりません。
そこで今回は「なぜ改憲が必要なのか」を解説していきたいと思います。
目次
憲法9条とは
まずはじめに、憲法9条について軽くおさらいしましょう。
小学校の時、かならず習う憲法9条。
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(↑条文の引用)
上記を簡単に説明すると、
「わたしたち日本国民は、戦争を放棄して、戦力を持たず、さらに国の交戦権を否定しますよ〜」
というのが、ざっくりとした内容です。
もっと簡単にいうと「わたしたちは戦争をしません。平和にやっていきます」ということです。
これが日本国憲法第9条です。
これを習って「あぁ、だから日本はこんなに平和なのか〜」と漠然と感じたと思います。
でも、みなさんが小学生の頃にこんなことを思ったことはありませんか?
「戦力を持たずって書いているのに、なんで自衛隊が存在するんだろう?」と。
その矛盾こそがよく議論が起こる憲法9条の問題点なのです。
そもそも自衛隊自体が憲法違反(違憲)
改憲が必要な理由として、「自衛隊という存在そのものが憲法違反」というものが挙げられます。
なぜなら、上記の条文を見てもらえばわかるように、憲法9条の2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と記載されています。
自衛隊には海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊が存在し、それぞれ最新鋭とも言える護衛艦(軍隊で言う所の駆逐艦)、戦車、戦闘機その他の強力な兵器を保有しています。
自衛隊は戦力の面でいうと軍隊なのです。このような強力な兵器を持っているにも関わらず、「自衛隊は軍隊じゃない!!」と言い張る人はおそらく居ないでしょう。
しかし、ただの軍隊という訳ではなく、「憲法に縛られた、すごく中途半端な軍隊」 という方が正しいかもしれません。
どの辺が縛られているのかというと、「相手が攻撃してきたら抵抗するために武力を行使するのは可能だが、それに対する報復ができない」ということです。
通常は、攻撃されたら二度目の攻撃を防ぐためにそれに対する報復をするのが普通で
す。
つまり「報復できない」 ということは侵略し放題ということになります。
盾はあるが矛がない状態なので、日本は盾で自分たちを守ることしかできないのです。
「その矛として米軍がいるじゃないか」という方もいるかもしれませんが、アメリカはオバマ政権からトランプ政権へと代わり、かつてアメリカが掲げていたモンロー主義のように「自国第一主義(国外よりも国内を優先する)」へとシフトチェンジしつつあるのが、現在のアメリカです。
日本政府がアメリカの国債を買いアメリカ経済を支え、アメリカはその日本を守るという関係が現在の日米関係ですが、この依存関係も世界情勢が変わるに連れて、変化していくでしょう。
ということは、将来的に日本も他の国となんら変わらない軍隊を持つべきなのです。
現在の憲法はアメリカが作った
私たちは小学校・中学校で日本国憲法はアメリカによって作られたものだということを一切教わらずに学びます。
そして大多数の人が、日本を平和な国にするために日本国憲法が作られたと思っていますがそうではありません。
実際は「日本がもう二度と、アメリカに歯向かってこないようにするため」に作られたのです。
なのでこの日本国憲法を作成したのはアメリカ、もっと詳しくいうとGHQなのです。
しかも、即席で作られた憲法なので、穴だらけ、矛盾だらけです。
憲法9条で日本に一切武力を持たせないのが、当時のアメリカの狙いだったのです。
しかしその考えは、それは1953年に起こった朝鮮戦争を期に変わっていくのです。
当時、世界は東側陣営(ソ連や中国といった社会主義国家)西側陣営(アメリカや日本といった民主主義国家)で実質的に対立していました。
そんな中、起こった朝鮮戦争でほとんどの米軍が朝鮮半島に出兵していたので、日本の国防が手薄になっていました。
それを懸念してアメリカは当時の吉田茂内閣に「警察予備隊を創設せよ」と伝え、それが
↓
保安隊
↓
自衛隊と変化していきました。
つまり、戦後すぐにアメリカは「日本は軍隊を持つな」から「日本は軍隊を持って自衛すべきだ」と変わったのです。
アメリカが「二度と歯向かわないように」という自国の都合で作った憲法でしたが、
今のアメリカは「早く改憲して自分の身を自分で守れるような国になってほしい」というのが本音のようです。
「 戦後日本の平和は憲法9条に守られた」という幻想
なぜ日本は戦後一切戦争をせず、平和に暮らせてこれたのかという話になると、「日本には憲法9条があるから、戦争放棄してるから」と考えるのが一般的です。
しかし、これは単なる幻想に過ぎません。
それは日本が戦争をしたくないといっても、世界がそれを許してくれないからです。
「日本には憲法9条があるから世界が戦争していても関係ない」というのは非常に自己本位な考え方と思いませんか?
日本という国は、世界196ヶ国のうちの1カ国にしか過ぎないのです。
その証拠に、すでに日本の平和は脅かされているのです。
マスコミではあまり報道されることがないので、知らない人が多いのですが、中国の漁船と称した軍用船が頻繁に日本の海域内に侵入しているのです。
なんのために侵入しているのか?
日本の海の周りを測量しているのです。測量するとその土地の地形・構造を把握できるので戦争、侵略を始める上で地政学的に有利になれるのです。
江戸時代末期に「シーボルト事件」という事件がありました。
当時の天文方(暦に関する職業についている人) の高橋景保という人物が、オランダ商館付として来日していたシーボルトに、日本の地図を渡したことにより、景保含めた十数名が処分されたという事件です。
地図が海外に漏れると地形や構造を把握され、国防上不利になるというのは昔から同じです。
以上の点を踏まえると、今中国が日本の海域内に侵入し測量しているということは日本の平和が守られているとは言いにくいのです。
「本当の平和」とはどのようにして守られるのか
改憲することによって日本が正式な軍隊を所有するということになると、こう声をあげる人がいます。
「憲法守れ!」「戦争反対!」「安倍は戦争をしたがっている!」「日本は平和な国だ!」と。
しかし、なぜ改憲し軍隊を持つことが「戦争をする」ということに繋がるのでしょうか。
軍隊を持たずに平和を語るのは理想論に過ぎません。軍隊を持たずに平和になれるのは、世界が武装解除し、武器を捨てることが大前提です。
先ほども言いましたが世界は日本だけではありません。いろんな国があり、そこに日本が存在するのです。
様々な考え方を持つ国が複雑に絡み合うこの世界で、日本だけの主張がまかり通るほど甘くないということを自覚しなければなりません。
なので、そのような世界で平和を維持できる国は「強い軍隊を持った豊かな国」です。日本が敗戦するまで欧米諸国に支配されなかったのは「富国強兵」を国是としていたからです。
ある二つの国を例にあげましょう。
「スイス」と「ルクセンブルク」という国です。
スイスは強大な軍事力持つことが平和な国づくりだと考え、200年以上も永世中立であり続けているのです。
あのナチスドイツも「スイスだけには攻めるな」と言っていたほどです。現在もその国民の防衛意識は高く、一家にどのようにゲリラ戦を行うかなどが記載された「国防マニュアル」が配布されていて、自動小銃まで配備されまさに「備えあれば憂いなし」の精神です。
侵略を防ぐためび橋はいつでも破壊できるようにしていますし、
核シェルターは当然のことながら、街のいたるところに砲台が隠されている「トーチカ」と呼ばれる隠し基地までも備えられています。
そのことから、攻撃した側が傷を受ける「ハリネズミ国家」とも呼ばれています。
ここまで徹底した国防意識が、200年以上も平和な永世中立国としてあり続けられた理由です。
同じく永世中立国のコスタリカも、平和を国是としていますが、一方でOAS(米州機構)という軍事同盟に加盟しており、強力な軍隊を所持しています。イラク戦争では最前線で活躍したほどです。
一方でルクセンブルクは軍隊を持たず、非武装こそが平和な国作りになると訴えました。
しかし、第一次、第二次世界大戦で二度もにわたりドイツに国土を蹂躙されました。
軍隊を持たない国が悲惨な結果になるのは歴史の常識です。
チベットやウイグルも、軍隊を持たないことで中国による侵略により苦しんでいます。
このような対局した二つの国を比較すると、「どのような国が平和なのか」「平和はどのようにして守られるのか」を理解できるはずです。
歴史から学ばなくては、何も成長しません。
終わりに
平和に対する考え方は人それぞれです。「武器を持たないことが平和」なのか「武器を持つことが平和なのか」、いろんな意見があると思います。
でも、それを主張するときは、「過去にこういう事例があったから〜だ」みたいに、自分で調べて、自分なりの意見を考えなくてはなりません。
「学校で習ったから」とか「テレビでやっていたから」とかではいつまでたっても進歩しません。
このブログを読まれた方は、本を読むなり論文を読むなり、とにかく他力本願はやめましょう。
自分で考えて、主張する。この行為が本当の平和に繋がると思います。